ビュクリュカレ

松村 公仁 アナトリア考古学研究所研究員

第9次ビュクリュカレ遺跡発掘調査(2017年)を開始しました

今年度は5月1日から8日にかけて地中探査を行いました。この探査は国立研究開発法人産業技術総合研究所の熊谷和博研究員によって行われました。毎年熊谷くんには休暇を使って来てもらい調査を行ってもらっています。

図1

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今年度の地中探査では5つの目的に沿って調査が行われました(図1)。一つ目の目的は都市部の城壁の重なりを確認することでした。これまでの調査では、地磁気調査によってヒッタイト時代の箱式都市壁とそれより古いと考えられる二つの別の都市壁が確認されています。これらの関係を理解するために都市壁門の部分でレーダー探査を行いました。この探査によって上下に重なる都市壁のそれぞれの深さを理解しようとしました。レーダー探査の障害となるため、調査地点の石を拾い草を取り整地して探査しました(図2)。探査結果は現在解析中ですが、都市壁が斜面にあること、また10m以上の堆積があることから良好な結果を得ることは難しそうです。

図2

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二つ目は発掘を行っている岩山で紀元前2千年紀の城壁がどのように続いているのかを理解するために、テラス部の斜面に露出している巨石壁の続きを地磁気探査で探ることでした。この探査の結果、城壁は現在のテラス地表面より5~10mの深さのところに存在することが理解されました。

三つ目は昨年度鉄工房址を求めて調査した遺跡南部に存在すると考えられるキャラバンサライ跡を検出することでした。この地域は道路工事のためなどに土砂が採取されており、一部礎石らしきものが露出していたので、その周辺を探査し、残っている建築遺構の形状を把握することを目指したのですが、あまりに石が多いためか良い結果を得られませんでした。

四つ目はテラス部の地磁気探査を行い、後期鉄器時代の城壁を把握することでしたが、今回の調査でこの時代の城壁の形がほぼ理解できました。

  

最後に現在発掘中の岩山頂上部でレーダー探査を行い、その有効性を検証しました。その結果、以前行った地磁気探査でははっきりしなかったオスマン時代の建築遺構が把握できました(図3)。

図3

図3

地中探査を終了後、一旦調査を中断し、5月25日から屋根外しを開始し、発掘調査を進めています。