2023年度トルコ発掘報告会プログラム

2024年3月3日(日)

13:30  ご挨拶 アナトリア考古学研究所の活動
大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
13:55  第14次ビュクリュカレ発掘調査(2023年)
松村 公仁(同上)
14:40-15:00  休憩
15:00  第36次カマン・カレホユック発掘調査(2023年)
大村 幸弘
15:45  第14次ヤッスホユック発掘調査(2023年)
大村 正子(同上)
16:30  閉会の辞
大村 幸弘
17:00  懇親会

ビュクリュカレ Büklükale

ビュクリュカレ遺跡はクズルウルマック河西岸に位置し、城塞部とそれを取り囲む都市部からなり、径約600mの規模を持つ紀元前2千年紀の都市遺跡です。2009年に本格的に発掘を開始しましたが、フリ語で書かれた紀元前15/14世紀の楔形文字文書(宗教文書)が2019年以降毎年出土しています。フリ語の宗教文書はこれまでアナトリアでは王宮所在地とされるボアズキョイ、オルタキョイ、カヤルプナルの3遺跡でのみ出土しており、これらの遺跡と同様に、ビュクリュカレ遺跡が極めて重要な都市であった可能性が高くなりました。

カマン・カレホユック Kaman-Kalehöyük

カマン・カレホユック遺跡は、トルコ共和国の首都アンカラから南東に約100キロの地点にあり、アンカラ−カイセリを東西に結ぶ古代の道の北側に位置しています。直径280m、高さ16mのアナトリアでは中規模遺跡ですが、数多くの層を為して古代の都市遺構が堆積しています。1985年に考古学的予備調査を行い、そして1986年から開始した本格的発掘調査の主目的は、「文化編年の構築」、すなわち「年作り」になります。2023年の調査では主に、前期青銅器時代の二つの大火災層の間で検出されたほとんど火を受けていない建築層と後期青銅器時代―ヒッタイト帝国時代の建築遺構と貯蔵庫の調査を行いました。

ヤッスホユック Yassıhöyük

中央アナトリアの幹線道路上にあるヤッスホユック遺跡は、南北500m、東西625m、高さ13mの比較的大きな遺丘と、その北裾野に広がる下の町からなります。2009年に開始した遺丘の発掘調査ではこれまでに鉄器時代、中期青銅器時代、前期青銅器時代の3文化層を確認し、2018~2019年には下の町において、遺丘上の第Ⅱ層中期青銅器時代に平行するアッシリア商業植民地時代 (紀元前2千年紀初頭)の居留区の存在を明らかにしています。2021~2023年には遺丘頂上部でそれまでに発掘されていた前期青銅器時代の大遺構の下に、さらに大きな遺構群を含む厚い火災層が存在することを確認し、紀元前3千年紀の中央アナトリアにおける都市の変遷を辿る貴重な手掛りを提示しつつあります。