招待講演

アンドレアス・シャハナー
ボアズキョイ/ハットゥシャ遺跡発掘の最新成果
―アナトリアの小国から世界帝国へ―

ボアズキョイ/ハットゥシャ遺跡

ヒッタイト帝国の首都ハットゥシャにおける最近の学際的な研究により、都市全体の発展についての従来の考え方に幾つかの疑問が出てきている。近年再構築された編年はヒッタイトの首都における文化的、政治的発展に新たな視点を投げかけているのが現状である。ヒッタイト帝国の形成と、その首都におけるアナトリアの一都市から国際的な大都市へという転換がこれまで考えられていたよりもずっと以前に起こっていたことが明らかとなってきた。文献資料から読み取れるように、ヒッタイト帝国が東地中海世界に存在した帝国間の政治ネットワークの中に組み込まれていたにもかかわらず、ヒッタイトの物質文化は多くの点において地方的特異性を持っており、時代を通して驚くほど均質である。ここでは都市ハットゥシャの新たな歴史復元をもとに、この都市の発展を解説し論じたいと思う。

講演者略歴

アンドレアス・シャハナー氏写真

アンドレアス・シャハナー(Andreas Schachner)
1967年生まれ。1987年より、ケルン大学、ミュンヘン大学、アンカラ大学で、近東考古学、アッシリア学、オリエント学を学ぶ。1999年ミュンヘン大学で博士号取得。ミュンヘン大学助手(2001-2005)を経て(2005年ミュンヘン大学で教授資格獲得)、2005年よりイスタンブルのドイツ考古学研究所研究員、2006年よりボアズキョイ調査隊長。

主な著作