2008年度トルコ調査報告会プログラム

2009年3月28日(土)

13:00
挨拶
阿部 知之 (中近東文化センター理事長)
13:10
第23次カマン・カレホユック発掘調査
大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
14:10
ビュクリュカレにおける考古学的予備調査(2008年)
大村 幸弘/松村 公仁 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
熊谷 和博(筑波大学)
14:40
休憩
15:00
ヘレニズム時代の王都ペルガモンとその港湾都市エライア:ドイツ考古学研究所の新たな調査
フェーリクス・ピルソン (イスタンブル・ドイツ考古学研究所)(日本語通訳あり)
17:00
懇親会
総合司会:吉田 大輔 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)

◆2008年度アナトリア考古学研究所主催の調査

第23次カマン・カレホユック発掘調査

第23次カマン・カレホユック発掘調査は、例年通り、2発掘区–北区、南区で調査を進めた。北区では『文化編年の構築』、南区では『北区で確認している各文化層の集落形態の把握』を目的としている。2008年度の調査では、大火災を受けて終焉を迎えたと推定される第IIIc層、アッシリア植民地時代の大建築遺構、第IIIc層を破壊して構築したと考えられるヒッタイト古王国時代の建築遺構の全体像を明らかにするため新たにXXXV、XXXVI区の2発掘区を設置し発掘査を進めた。また、南区では第IId層の『暗黒時代』と文化的に密接に関わっている第IIc層の発掘調査を行った。

ヤッスホユックにおける考古学的予備調査

ヤッスホユック遺跡(クルシェヒル県チャイアウズ村)はカマン・カレホユック遺跡から東約30kmに位置し、南北500m、東西625m、高さ13mのアナトリアでも比較的大きな遺丘である。2007年度に地形測量、磁気探査、表採調査、写真撮影等の調査を行った結果、大きな建造物を市壁で囲んだ形の古代都市の存在が確認された。2008年度は磁気探査を継続した。同遺跡では表採遺物から紀元前1千年紀から3千年紀に遡りうる文化の堆積が推定される。

ビュクリュカレにおける考古学的予備調査

ビュクリュカレ遺跡は、トルコ最長のクズルウルマック(赤い川)の西岸に位置するヒッタイト帝国時代の都市遺跡である。アナトリア考古学研究所は、1991、2006年に一般調査を行い、2008年、地形測量、地中探査、空撮を行った。遺跡は、岩山上とその周辺部とかなり広大な面積を占めており、頂上部の地中探査では大型の建築遺構を確認した。また、表採遺物は、前2千年紀後半のものが中心であり地中探査で検出した遺構も同時代の可能性が高い。